それから、蒲郡市は繊維産業が盛んで縫製工場があちこちに有り、フトン・まくら・
座布団カバー・ニット製品など多くを製造していました。
ミシンの販売や修理に必要なノウハウもずいぶん経験できましたね。
3年間の修業をを終えた後、実家のミシン店を継ぐ2代目となりました。
地元に戻り苦労したのは縫製する素材と針の太さの違いでした。
9〜14番のミシン針から24・25番までの、太い特殊ミシン針使用の世界へ、薄地ニット地や
布帛地から、樹脂と一緒に縫う自動車シート縫製やステンレス網の縁縫いなど、「こんなもの
縫えるか〜い!」というようなものまで要求されました。
今では、あたり前のことですがその頃は随分困惑し、夢にまで出てきて随分苦労しました!
(おかげで随分頭があかるくなりました。ちがうかー!)
その積み重ねが、はじめて出会えるミシンの修理ができる喜びにもなっていると思います。
ただいま3代目も一緒の仕事をしています。1年間ですが工業用ミシンメーカーにお世話に
なり、組み立ても経験させました。毎日の仕事はミシンの修理が優先です。
1台より10台、10台より100台より多くのミシンに出会える事がいい仕事につながる勉強と
思っています。
ケーキやさんが自慢のケーキを買って貰おうとしたら、値段を下げれば今より沢山売れる
でしょう、でも、長く商売を続けようとしたら美味しくなければつづきませんよね。
ミシンも本当に使い易い品を求めやすい価格で売るには、修理を含めたアフターもしっかり
出来なければお客様の支持は得られないと思います。
ミシンは精密機械です。デリケートなアナログな道具です。耳障りの良いセールストークで
安価な商品を過剰評価して買うことは避けてください。ミシンは、電源を入れても自動で
物を縫ってはくれません。
縫う生地の厚さ・硬さ・縫う場所そして糸や針の材質・材料・太さ
など10人いれば、10通りの状況・条件・技量が違います。そんな道具をネットで選ぶ方が
ざんねんながら増えています。
現実に当店にもネットで購入された方が、使用方法がわからないといって持ち込まれている
のも事実ですが、お断りしています。
ですから、私はネットでミシンは販売いたしません。
古い人間ですので、顔の見えない商売は苦手ですから。
お金を頂いて、おまけに『ありがとう』とお礼までいわれ、時には季節の大根やニンジン・白菜までいただき最高の笑顔をしてもらえるこの仕事を一生続けたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
>>>石川ミシンの紹介はこちら石川ミシン商会 店主